新時代ボイトレ概論 第八回 新時代の歌の基礎(2)

ごあいさつ

こんにちは。音楽家になりたい人・武宮健です。

新時代ボイトレ概論は、従来の「上手い人がより上手くなることしかできない」ボイストレーニングに異を唱えて、誰もが上手くなれる、新しい歌の理論体系を築き上げるための講義です。

今回は、これまでないがしろにされてきた「発声基盤」についてお話していきます。

歌の基礎は才能なんだよ

生まれつき歌える人と生まれつき歌えない人がいる。つまり、歌の基礎は「生まれ持った才能」なんです

この事実に目を背けているのが「旧時代ボイトレ」。

この事実に真っ向から挑むのが「令和ボイトレ」。

歌の才能の最も大きな違いは「発声基盤」すなわち「声が出しやすい身体」。

「勝手に、自然に、頑張らずに望みどおりの声が出る」という状況をまず作り出す必要があるのです

ズバリ、発声基盤の正体は「副鼻腔」

鼻腔をサポートするように副鼻腔というのが4種類あります。それぞれの位置と名前を覚えられるといいです。

・前頭洞(ぜんとうどう):おでこ

・篩骨洞(しこつどう):眉間の奥

・上顎洞(じょうがくどう):頬骨の奥

・蝶形骨洞(ちょうけいこつどう):篩骨洞のさらに奥

副鼻腔画像の引用
がん情報サイト|PDQ®日本語版(患者様向け) [http://cancerinfo.tri-kobe.org/Media/JP/CDR0000713969.jpg] より引用

結論を言うと、これらの空洞がきちんと鳴ることが自由に歌える人の条件なんです。

副鼻腔炎はみんなの問題

「副鼻腔炎」は、副鼻腔が鼻水やその塊で埋まってしまう病気です。

風邪や花粉症で、鼻が詰まると、実は副鼻腔も詰まってしまいます。癖で鼻をすすってしまう人は鼻水が副鼻腔に収納されていき、固まってしまいます

するとどうなるか。「副鼻腔炎 CT」でぐぐってみると、こうです。

副鼻腔炎 CT の画像検索結果
「副鼻腔炎 CT」で画像検索した結果の一部
黒色で表された空洞が、灰色で表された粘液やその塊によって、狭くなっているのがわかります。 鼻水をすすると、このように詰まって固まって、排出されなくなっていくのです。そして、音の響く空洞を失って、声が出しにくくなっていくのです。 「そんな病気、自分には関係ない」と思う人もいるでしょうが、副鼻腔炎はイエスかノーかではなく、もっと連続的なものです。つまり、パーセントで表すようなものということです。 全く大丈夫の人もいれば、生きるのに支障はないけれど少し副鼻腔炎という人もいれば、息ができないくらい重い症状の人もいる。 知らないうちに粘液が溜まり、固まって、どんどん声は出しにくくなっていく。そういう蓄積されていく部分なのです。

線を引けばわかる

鼻の下、横一直線に線を引いてみると、上が鼻腔や副鼻腔・下が口腔というふうに分かれます。

鼻腔や副鼻腔が正常(空っぽ)な人は、上を響かせやすい。詰まっている人は、必然的に下を響かせることになるわけです。

例えば、多くの声優さんは鼻腔・副鼻腔の空洞が広く、普段から「上」をよく使っているから、軽くてよく通る声が出せる。そして、歌えと言われたら歌えるのです。なぜなら普段喋ってる発声のまま歌えるから。

逆に、鼻腔や副鼻腔が狭い人は、普段喋るときは「下」を使う方が楽に声量が出ます。そして歌うときもそっちを使う。

だから高い声が出ない。声が通らない。無理をして声を出すから、音程がバラバラだったり、すぐに枯れてしまったりする。

さらにつらいのは、練習すればするほど、「身体制御」は口や喉を響かせるのに特化して育っていくので、どんどん「下」が響くように癖がついていく。

口と喉を使った発声のコントロールが上手くなったところで、声自体は出しにくいまま。いつまで経っても不自由な声は改善されず、「もともと上手い人」の足元にも及ばないのです

改めて目的は「普通の高い声」

色々話してきましたが、目的としてまず普通に、自由に、高い声が出せるようになりたい

もちろん、「綺麗な高い声」「耳障りな高い声」というのはあるでしょう。

でもとにかくまずは普通に高い声を出せるようになること

それが「自由な歌」に直結するのです。

私たちは、ただ真っ直ぐ「普通の高い声」を目指して練習をすればよいのです。

おわりに

歌の基礎は才能。

才能は「発声基盤」。

「発声基盤」は「副鼻腔」。

という話になってきました。

もはや武宮にとっては当たり前すぎる話ですが、普通の人にはなかなか信じてもらえないようです。

自分の才能の無さを受け入れらないとか、ミックスボイスという虚構に惑わされているとか、いろんな要因があると思います。

それでも、きっといつか「歌は副鼻腔だ」という考え方が常識になっていくでしょう。それこそがボイトレの新時代の訪れです。

一人でも仲間が増えていけばと思っています。

さて、次回は、もう少し、「ほんとに副鼻腔なの?」という疑問を解消していきたいと思います。

お疲れ様でした!